2010年12月21日
2011年度の公的年金支給額、物価に連動して引き下がるもよう
政府は(2010年12月)20日、2011年度の公的年金支給額を5年ぶりに引き下げる方針を決めた。(2010年12月21日火曜日「日本経済新聞」朝刊1面)
公的年金を受け取る際の年金額は、物価の変動に応じた計算がなされる
公的年金(国民年金・厚生年金・共済年金)を受け取る際の年金額の計算には、「物価スライド方式」が使われています。
物価の変動に応じて、お金の価値は変わります。
物価に対して年金の価値が実質的に同じ水準となるようにした年金額計算のシステムが、「物価スライド方式」です。「物価スライド方式」の具体的な計算は
「物価スライド方式」の具体的な計算を簡単に説明しましょう
毎年1月には、厚生労働省が翌年度の年金額を発表します。その前年(暦年)の全国消費者物価指数(CPI)を基準年の全国CPIと比べて翌年度の年金額をどうするか決定します。
このとき決まった年金額が適用されるのは4月分から、つまり4・5月分をまとめて6月に受け取る年金から新年度の年金額になります。
今回のケースでは、2010年の全国CPIが基準年である2005年の全国CPIよりも低かったので、2011年度の年金支給額は2010年度に比べて減額される、というもの。
報道によれば、0.3%程度の引き下げとなるようです。なぜ、「物価スライド方式」なの?
今回は年金額が減ることになるのですが、インフレ時には物価の上昇に応じて年金額が増えなければ、年金受給者の生活は苦しくなってしまうからです。
インフレ対策として導入したルールだったのですが、デフレの時代には厳しい措置と感じられるかもしれません。日本経済がデフレに転換したばかりの頃には、公的年金の受取額が減らされるというのは抵抗感が強く、物価が下がっても年金額を引き下げないという措置が取られていたこともあります。
けれど、年金を生活費(またはその補てん)と考えるなら、物価に連動させるのは当然と言ってよいでしょう。物価変動や経済ニュースを意識した生活を
おそらく、
「公的年金が減らされのはけしからん」
「いや、年金財政や税からの負担を考えると、デフレ時には引き下げも当然」
といった議論が起こるでしょうね。
損得を言い始める人も出るでしょう。
けれど、それはそれ。
年金受取世代の方は、来年の家計支出の予定を見直し、年金が減額されても良いような生活設計を立てましょう。年金が減額された分、支出を抑える項目はどれかと考えたり、デフレの影響を受けやすいのはどの項目かと考えてみましょう。
さらに、このデフレがどれだけ続きそうなのか、日々の経済ニュースに敏感になることも、数年先の生活設計に役立つことと思います。
現役世代の方。
公的年金は「物価スライド方式」ということをここで学びました。将来の生活設計に役立つ、一つの知恵を手に入れたことと思います。
他人事と捉えるのではなく、このような知識をコツコツと身につけていけば、その蓄積は十分な財産となります。実際に現金を多額に持っていることが安心なのではなく、お金にまつわる知識を蓄えることも大切ですよ
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